喫茶店にて僕は原稿を考えなきゃいけない。もうリミットは迫っているのだ。集中して頭の中で構成を描き、文字にする。いつもやってるそれが今はどうしても出来ない。ある一件が、僕の思考回路に割って入ってくる。なんどもなんども原稿のほうに路を戻そうと試みるのだが、錆びて固まり人間の手にはどうすることも出来ないくらい頑なに動かない。これは非常に困った。打ち明けるのが恥ずかしいくらいしょうもない一件なのだが、打ち明けないと話が進まないので打ち明ける。前にいる二人組の女性が、お揃いのバッグを使っているのだ。最初のうちは、「ああ、仲が良いのかなぁ」という風にしか思ってもみなかったのだがある瞬間、「待てよ、片方の続きをみる
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